
日は香爐を照らして紫烟を生ず 遥かに看る瀑布の長川を挂くるを
飛流直下三千尺 疑うらくは是 銀河の九天より落つるかと
(『望廬山瀑布』李白)
大学近くのタコ焼きを売る店先で、かき氷を食べながら、
東洋法制史専攻のハチヤ君と話していた。
ハ「・・・ぎんがの きゅうてんより おつる かと・・・・
って・・いうんですよ・・
いいなぁ・・・豪快でいいでしょ・・?」
私「・・・え・?・・・」
ハ「李白の詩ですよ・・・
簡単に訳すとですねぇ・・・
日のひかりが香爐峰を照らし紫にかがやいている・・
滝が長い川を掛けたように流れ・・
その流れは三千尺もあろうか・・
まるで銀河の水が空高くから落ちてきているかのようではないか・・・
っていうんですよ・・・
いいなぁ・・・つめたい!」
私「ははは・・・あわてて食べるからだよ・・・
なるほどね・・・
だけど・・日が照ってたら・・銀河はみえないだろ?」
ハ「またぁ・・・もぉ・・情緒がないんだから・・・のりもさんわ・・・
そういう豪快さを詠ってるんじゃないですか・・・
銀河は見えなくていいんですよ」
私「そんなもんかねぇ・・・リアリズムがないなぁ・・・」
ハ「そうかなぁ・・
この氷のやまから・・・すぅぅー と一本てっぺんから水が流れて・・・
ですねぇ・・・
やまの上にこうやって・・・スプーンで・・
橋というか上に銀河を作るんですよ・・・
ほら・・・
日は香爐を照らして・・紫烟を生ず って図でしょ?」
私「どれどれ・・・うん・・・いちご味も・・・うまいねぇ・・・」
ハ「あぁ!取ったぁ・・・山の下をくずしちゃ・・・だめ!!!・・・
もぉぉぉ・・・」
私「ははは・・・おれのもあげるよ・・・ほら・・・取りな・・・」
ハ「そういう・・・もんだいじゃ・・ない!」
私「ははははは・・・・・」
日焼顔見合ひてうまし氷水(水原秋櫻子)