
♫ あおい空が お日さまにとける 白い波が 青い海にとける
青い空はわたしの恋のいろ 青い海はあなたの愛のいろ ・・・・
恋は水いろ空と海のいろ・・・・・♪
(『恋はみずいろ』作詞・作曲:A.Popp・P. Cour 訳詞:漣健児 )
ある大学の昼休み、学内放送でポール・モーリアの曲が流れていた・・・
研究室でコピーを整理していると、
英文学者のK先生が白い花を持ってもどってきた・・・
K「♪ フフフンフ・・・こぉいわ~ みぃずぅ~・・・・」
私「あれ?せんせい・・・お誕生日ですか・・・
いいですねぇ・・・白百合をかかえて・・・
ちょっとしたスターですねぇ・・・」
K「え? ははは・・・
いえね・・・ほら・・
裏のレストランへ行く途中に
ちょっと古風だけどきれいに庭が整えられたお家があるでしょ。
いま・・レストランから帰ってくる途中で
その家のご主人と はじめてお会いしましてね。
そこで育てておられる百合の話しになったんですよ。
そしたら、
お別れの際にちょっと持っていらっしゃいと言っていただいて・・
ゆりも・・・いただいてきたんですよ・・・」
私「へぇぇ~~・・どんな話しを されたんですか?」
K「ええ・・このゆり・・やまゆり・・・なんですけどね・・
やまゆり って鬼百合・・の一種なんですよ。
それでね・・なんで鬼百合っていうかっていうと・・
花が大きいのと
赤の種類のぽつんぽつんと斑点のある鬼百合があって・・・
それがなにやら 赤鬼に似てるから という説がありましてね・・・
それで鬼ゆり・・っていうようになった
っていわれてるんですよね・・・
そんな話しをしてましてね」
私「なるほど・・・」
K「そんなことを話してるうちに・・・
和歌の話しになりましてねぇ・・・
大伴家持の歌・・・
『さ百合花、百合も逢わむと、思へこそ、今のまさかも、うるはしみすれ』
(万葉集第18巻4088)
のことが話題になったんですよ・・・」
私「・・ぇ?・・・」
K「この歌ね・・・
百合という名のように何度も逢いたいとおもうからこそ、
今も大事にこの時をすごしているのですよ』
っていうぐらいの意味なんですよねぇ・・・
いいでしょ?・・・
そんな話しをしてたら・・・
ご主人と話しがはずんじゃいましてねぇ・・・
お別れに・・・花をいただいたって・・わけです・・・」
私「ははは・・・初対面なのに・・・百 合う ・・ですか・・・・」
K「・・・・・・・」
白き百合 夏のはじめのファンファーレ(のりも よしあき)