大学3年生になると、民法で債権法を勉強する。
このとき、自然債務という債務があるということを知る。
これは、山野でうまれる、自然界での債務というわけではない。
まず債務というのは、たとえばAがBに10万円貸せば、Bは期日に10万円と場合によってはその利息を支払う義務があり、これを債務という。
このお金をかえすという債務は、Bが支払をしないときには、Aが裁判所に訴えて、強制的にお金を返えさせるという、力がある。
ところが、自然債務というのは、この強制力がない。いわば中途半端な債務である。
たとえば、貸し借りから10年たって、時効でお金を返さなくてよくなった時のBの債務などがこれに当たると説明される。
ただし、債務であることには、ちがいないのである。
この授業のあと、悪友たちとはなしをしているとき、
K「なあ。債務じゃなくて、法以外の、なにかの分類のなかで、自然債務と同じようなものってあるかなぁ」と言い出した。
Mが
「そりゃあるよ。たとえば、気のぬけたコーラとか、甘くない飴玉とか」
Sも「えっと、ミルクの入っていないミルクティーとか・・・」
Hがわたしを指さして、
「気のぬけたノリモ!」
みんなが、手をたたいて大爆笑。
「こらぁ、おれは自然債務か?ばかやろう」
詮なさの昼念仏や五月雨(河野静雲)