昭和61年11月、国鉄が民営化されることが決まった。
その時の、大学仲間での話し。
A「おい、国鉄民営化法が通ったなぁ」
B「そうだなぁ・・・長かったよな。三公社の専売公社と電電公社はもう始まったのにな。一番の赤字事業の国鉄がやっとこれからだもんな」
C「さて、それでどう民営化するんだっけ?」
A「うん、新聞によると、人を運ぶ鉄道事業をする企業を『北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州』の六つにわけるんだってさ」
B「え、なにか高等裁判所が置かれる地域分割みたいだなぁ」
C「ばかいえ。東海高等裁判所なんてないだろ。それに、高等裁判所なら東北仙台、中国広島がなきゃならないじゃないか。全然ちがうだろうが」
A「ははは・・・そうだよな。だけど国鉄の分割だと、東海は東海道新幹線があるからそれを一つの事業体にするんだってことだぜ」
B「なんでだろ?」
C「そりゃ、国鉄のドル箱路線で、高収益が見込めるんだから、最っとも効率がいい経営体として残すのは、経済論理としては当たり前じゃないか」
A「そうだよなぁ・・・東海道の新幹線路線を持っている企業体は黒字になるけど、そうした路線を持たない企業体は将来どうなるのか、心配だよなぁ・・・」
C「ああ・・・『光と影』だなぁ・・・」
B「え? あの新幹線は 『ひかり』と『こだま』 だぜ」
A・C「・・・・・・(ばか)・・・・・・」
ひかる鉄路冬のゆうべを貫けり(山口誓子)