昭和59年ごろの大学仲間と、ビヤホールで飲み会をしていたときの話し。
A「なあなあ、テレビニュースでフランス『ヌーボー』が、日本でも解禁って騒いでたけど、あれ、そんなに意味があんの?」
B「え、知らないのか?ぬーぼーとしてんな」
A「ばかにしやがって。知ってるなら教えろよ」
B「ははは。ヌーボーってneuveauって書いて、英語でいうnewつまり新っていうフランス語なんだよ。だからフランスの新しい酒だから、ワインの新酒ってことになるんだよな。フランスワインの新酒が出て、限定的に出荷されるから、この日から飲んでいいですよっていう解禁日なのさ」
A「ああ・・・ワインの新酒かぁ?だけど、それが何でニュースになるくらい価値があんの?」
C「あのさぁ、フランスってワインの産地だろ。それが、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ボジョレってたくさんの有名産地があるわけさ。その有名なボジョレ地方で作られたワイン、それも赤ワインが秋になって新酒が出ましたよってことで、ヨーロッパ中に出回るときに、この日から飲むんだよって解禁日を決めると、希少価値とか、お祭り気分が盛り上がるじゃないか。日本でも輸入業者が便乗して、『はやり』になってきてるんだよ」
A「そうかぁ・・・ビールよりワインの方がなんとなくおしゃれだもんなぁ。だけど、みんな新しもん好きのミーハーだなぁ。気が知れないよ、まったく」
そのあと、ビヤホールの卓上に新たなメニューが配られてきた。この年から製造され始めた『神戸ワイン』新発売と、写真入りである。
A「あぁぁ!!!ヌーボーだ、ヌーボーだ。飲もうぜ、飲もうぜ!!!」
B・C「・・・・・・・・・」
たまさかの君に新酒を参らせん(子規)