お正月はテレビで演芸番組が盛んとなる。
わたしは落語が好きでよくテレビ・ラジオで見聞きするのであるが、正月は普段あまり聞くことができない演目にお目にかかる。
昭和50年に入ったとき、正月にベテランの落語家が「商売根問」を演じていた。
いまでは、お目に掛かれない(?)職業・道具がつぎつぎと出てくるのである。
しごともしないで、ぶらぶらしている喜六。それを横丁の甚兵衛はんが説教をする。
魚屋をして、天秤棒をかつぐ・・・茶と栗と柿を『ぼてふり』で売る・・・爪楊枝けずり・・・うどん屋を始めて、いかき(笊)にうどん玉を入れる・・・スズメ取り・・・ガタロ・・・・
すべて、喜六が始めたが、失敗したというはなしである。
しかし、この状況は小学生なんかにはわからんだろうなぁ・・・と思うわたしであった。
ま、小学生は落語なんか興味なかろうが・・・・
わたしが、小さいころには、まだ、この落語の世界の状況が少しだけ残っていた。
ただ、そのなかでも、スズメ取りと、ガタロが分からずオヤジに聞いた覚えがある。
スズメについてはオヤジが
「もみじを見に行ったとき、食べ物屋さんで串に差したスズメが売ってたろぅ?あれを取る仕事があるんだよ」といい、
ガタロについては、
「川底を大きなくわで掻きあげて、ごみを取るしごと!!」と。
どちらを答えたときも、ちょっと不機嫌な様子。
そんなことをふと思い出す正月であった。
ぬすまれて親の恩知る寒さ哉(子規)