いよーーーぉっ
ぱん ぱん ぱん
ぱん ぱん ぱん
ぱんぱん ぱんぱん ぱんぱんぱん
テレビニュースで振袖姿の女性たちと紋付袴やスーツ姿の男性がずらっと並び、威勢よく、手締めする、東京証券取引所での様子が写し出される。
1月4日のことであった。
三本締めによる大発会である。
株式などの有価証券の取引をおこなう取引所で、新年になってはじめて取引がおこなわれる、いわばおめでたい日である。
後年、知り合いとなった証券論のK教授は、この世界の専門家で、雑談でこの話題となったとき、
「大発会は新年のおめでたい、いわばお正月のお祝い相場でね。昭和50年前後は高度経済成長さいごのときで、むかしの風習が多く残っていたんでねぇ。みんなお神酒が入って、ご祝儀相場で、ちょっと株価が上がるのがふつうだったんですよ。にぎやかで、明るくって、まあ、普通の取引場の殺伐とした雰囲気とはちがうんですよね」
とおっしゃっていた。
証券市場での株式売買など分からないわたしは、へぇぇぇ~~と感心するしかなかった。
にぎやかで華やかな、正月休み明けの初仕事日であった。
手を〆めて初立会の勢年(梨葉)