norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

詩吟

 英語の授業が終わった秋のある日。

「さあ、昼めし、昼めし・・・。どこへいく?本部食堂にする?」

みんなでがやがや、本をカバンに詰め込んで話をしていた。

 

 すると、おもむろに、前の扉から学生服の人間が入ってきて。

「おーーす!!!練習をはじめます。よろしく」とあいさつをして。

 

 ♪ べんせい~~~ しゅくしゅくぅぅ~~ よる かわをををを~

         わたるぅぅぅ~~~ ・・・・・・♪

と謡いだした。

 

 みんなが、あ、しまった。

今日は『吟詩部』が昼練習する日かぁ、と思っている。

 

 弁当をそこで開いて食べていた学生は、あわてて蓋をして部屋を出てゆく。

そうである。

 『吟詩部』が1か月に2・3回昼の休みに、語学教室で練習することになっている日がある。

 

 語学教室であるため、詩吟の練習にはもってこいなのであろう。

われわれは、彼らの邪魔をしないように、急いで部屋を出た。

 

 1年生の初めのころは、急に詩吟が目の前で演じられるので、面食らう者が多かったのを覚えている。

 

 高校から、詩吟部のある者は慣れているのか、平気で、

ああぁ、ちょっと聞いていっていいだろうか?

などと

詩を吟じる学生に言って、その場で聞き入っていた。

 

 若い、張りのある声を背中に聞きながら、

ああ、お腹すいたぁと、

みんなで食堂へ向かうわれわれであった。

 

 若いころは、詩吟という教養文化より食欲が勝ります。

 

     つと揚る詩吟や月の瓜小屋に(西山白雲)