norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

氷まんじゅう

 『氷まんじゅう』というのをご存じであろうか。

わたしは、子どものころ、大阪市内に住んでいた。

そこは町工場が多くならんでいるところで、わが家も商売の関係上その地区で暮らしていた。

 

 8月真夏の酷暑の日、昼の2時ごろになると、おやじが、わたしを呼んで、30メートルほど先の駄菓子屋に行ってかき氷を15個買って来いという。

昼過ぎのおやつにするのである。

おやじが働いている事務所では5人ほどの従業員がいて、その人たちにもふるまうためであった。

 

 そのとき、おやじは、

「よしあき、おまえの分も買ってきていいから、いそいで行ってこい」といわれ、

金だらいと150円をもって、店まで駆けて行った。

 

 店に着くと、おばちゃんに、

「氷まんじゅうを15個ください。蜜は『いちご』『黒蜜』『みぞれ』の3つを、5つづつ」

と言って、150円をわたす。

おばちゃんは、冷蔵庫から氷片を取り出し、手掻きの『かき氷器』をつかって、かき氷の山を下のガラスの器に盛り上げてゆく。

 

    しゃ しゃ しゃ しゃ 

    しゃ しゃ しゃ しゃ・・・・しゃああぁぁ・・しゃしゃ・・・

 

 ひとつのこおりが出来上がると、かき氷を手のひらでおさえて、まんじゅうをつくるのである。

そのうえからあか、くろ、しろのシロップをかける。

こおりを固めては、また、かき氷を上にのせて、固めて、シロップをかける・・・・

見ていてたのしいものである。

その『大きな氷のまんじゅうになったもの』を、金だらいのなかに入れてゆく。

 

「持てる?」

「うん」というと、上に、ふきんを掛けてもらって、いそいで家へかえるのである。

少し、つめたいが、夏の暑さでここちよい。

 

 いまは、もう、氷まんじゅうなんてものはないでしょうねぇ、不衛生か・・・。

だけど、おいしかったぁ・・・・・

 

        かき氷匙音立てて甘つたれ(大木あまり)