わたしが中学2年生のときに、祖父が死んだ。
今はあまり聞かなくなったが老衰である。
その年の8月は、新盆となる。
このとき、オヤジがお盆休みといわれる8月の10日前後に墓参りをするからと、家族全員を引き連れてお寺までゆくことになった。
あとで調べてみると、お盆というのは、「盂蘭盆会」(うらぼんえ)という仏教行事で、釈迦の弟子の母親が、六道のうちの鬼道に落ちたことに対する供養の日、という伝説に由来するのだそうである。
わがくにでは、この時期に、祖先が帰ってきて、祖先の霊に供物をささげる習慣が現代に伝わっているといわれている。
小さいころは、おやじが、
「この時期はなぁ、地獄の釜のフタが開いて、そこは血の池地獄があって、いうことを聞かないと、鬼がやってきて、ここへ放り込むんだからな!よしあき、早く寝ろ!」などと、わたしを脅したものである。
さて、この新盆の墓参りは、暑い暑い最中に親子5人ならびに親戚一同がお寺にそろった。
総勢で20人ほどにもなろうか。
お墓参りを済ませ、家族・親戚一同で簡単な食事の膳が本堂で出て、おとなたちはちょっとお酒を飲んで楽しそうに話していた。
わたしなどは、何がたのしいのかなぁと思いながら過ごす、夏のいちにちであった。
瓜食べて種の大きな盆休み(綾部仁喜)