仲間たちと研究室で話していた。
この12月大阪国際空港公害裁判の最高裁判決が出て、住民に損害賠償はみとめたが、航空機の深夜と早朝の発着はみとめなかったのである。
A「『麦めしの味を忘れた長い公事』ってね」
B「なんだよそれ?」
A「江戸川柳さ。裁判ってのは、長くかかって、それは江戸時代から同じだってこと。大阪空港訴訟だって昭和44年から始まって、この最高裁までだと、12年もかかってるだろぅ?」
B「なんでそれが長いことの意味になるんだよ?」
A「あのな、地方の農民なんかが、民事の争いがあるときには、江戸に出てくるんだよ。そのとき、農民の主食ってのは麦でさ、反対に江戸は米を食べてんだよ。江戸での訴訟生活が長くなると、ずっと米ばっかり食ってんだろ。そうすると、田舎の麦めしが恋しくなるわけさ。それほど訴訟つまり公事が長くかかってるって『しゃれ』でもあるわけさ」
B「なるほどなぁ・・・そうするとだよ、空港付近の住民にすると、
この判決は
『静けさの味を忘れた長い公事』
ってことだよなぁ」
A「おお、そう読み替えるかぁ・・・じゃぁ俺も。
『麦よりも米が食いたい昼ごはん』」
B「・・・ばか・・・・」
麦飯匂へばしきりに故郷なつかしく(種田山頭火)