♬ 村の鎮守の神さまの 今日はめでたい おまつり日 ドンドンヒャララ ドンヒャララ ドンドンヒャララ ドンヒャララ 朝から聞こえる 笛太鼓・・・・♪
(『村祭り』文部省唱歌)
昭和60年ごろ、ある大学の昼休みに、
国文学者のF先生とお茶を飲んでいると、
近くの幼稚園から、むらまつりの音楽が・・・
F「お。秋のお祭りですねぇ・・・子供も大学生も祭り時期ですか・・・
今日から、この大学でも大学祭の準備で、
学生が大はしゃぎですものねぇ・・・
浮足立っちゃって、講義になりませんよ。
のりも君のところでは、どうですか?」
私「ははは・・・そうですね。
ま、1年に1回の学生の楽しみですもんね」
F「うん・・・ま、収穫祭が秋の通り相場ですものねぇ・・・
まさに『秋土用』か・・・」
私「え・・・?あき・・どよう・・?」
F「あぁ・・のりも君ぐらいの年齢の人だとわかりませんかねぇ・・・
土用っていうのは、だいたい春夏秋冬のどの時期にも季節の変わり目になって、
ちょうどいい節目なんですよ。
夏なら盛夏になるときの、
『土用の丑の日』にうなぎを食べるっていうでしょ」
私「あぁ・・・はい・・・」
F「暦の上では、秋土用っていうのは、
二十四節気に入らない雑節でね、
立冬直前18日の十月末の期間を指すんです」
私「なるほど・・・・」
F「ま、農事の目安でもあるんですけどね。
この時期は田畑の土いじりが禁止されるんですよ。
それで、この時期には『た』の字が付く食べ物や、青魚を食べるといい
っていうことがいわれてるんですよね」
私「え・・・『た』・・ですか・・?なんでですか?」
F「さぁ・・・詳しいことは分かりませんが、
縁起担ぎでしょ。
それに秋だから作物が豊富に出て、
たまねぎ、だいこん、なんかの新鮮なものとか、
さんまなんかの栄養豊富なもので、
体に滋養をつけるようにっていう教えなんでしょうね・・・
あ・・・しまった・・・」
私「どうしたんですか?」
F「いえ・・・僕、さっき 駅前で
『た ぬきうどん』をたべちゃいました・・・・はは・・」
私「・・・・・・・」
土ごもりこほろぎ啼ける土用かな (下村槐太)