大学卒業式の日。
図書館前で同期や後輩たちと最後のエール交換をしているとき、わがサークルの顧問教授のひとりであるT先生があらわれた。
若手のホープで舌鋒するどい論客教授といわれていた。
T「みんな、卒業おめでとう」と声を掛けていただく。
そのとき、4年生全員に卒業後の進路をたずねられた。
わたしの順番が回ってきたときに、進学すると返答をしたところ。
T「そうですかぁ。がんばって。わたしもそうだけど、学校というところからみんなのように社会人となって出たことがないものだから、社会人に対する一種のコンプレックスがあるんだよ。ここのところは独特でねぇ・・・」
とおっしゃった。
わたしは、それほど気にも留めず、それを忘れてしまっていた。
こうした感情が分かるのは、それから3年ほど経った頃からである。
あちらこちらで、学生気分のわたしが社会人の一般常識とはズレるのである。
高校や大学の同期と会っても、まぁ、話しがあわない。
税金の申告で税務署にゆくと、『法学部』出身のくせにこんなことも分からないのかといった調子である(そんなもの、実務なんか分かるわけないだろうが、と文句を言いたくなるが)。
ある大物教授などは、税務相談途中に怒り出して、「ばかやろぅ、何年おれはこの国に税金を払ってると思ってるんだぁ」と大声を上げたというエピソードすら残っている。
言い方をかえれば、こどものママなのかもしれない・・・・温室まさに温室ということばがぴったり合うような気がする・・・
昔読んだ『彼の歩んだ道』のなかで、末川先生が無職となったときに、息子さんが学校に提出する書類のなかで、親の職業を書かねばならなくなったとき、「こ〇き」と書いておきなさいと言ったというエピソードがあるのを思い出した。
先生ぐらい有名で実力者ならそんなこともいえるんだろうがなぁ、という感慨がわいてきたものである。
ただ居心地はいい・・・・
「いつまで学生やってんだよ!!」と天のこえが・・・
葉ざくらや学舎のこと罰のこと(鷹羽狩行)