♬ 淡き光立つ 俄雨
いとし面影の沈丁花
漏るる涙の蕾から
ひとつひとつ 香り始める
・・・・春よ 遠き春よ・・・なつかしき声がする・・・♬
(作詞・作曲:松任谷由実「春よ、来い」)
華やかなのに、なんとも、もの悲しい歌である。
この歌はわれわれが、大学を卒業して数十年もの年数が経って発表されたものである。
「ルージュの伝言」「やさしさにつつまれたなら」などなど、はなやかで、かわいらしい女性の感情を詩にした曲が多かったものである。
大学生のとき、Kが「荒井由実の曲って、どう思う?のりも」と聞いてきたことがある。
私は、「ああ、ちょっと変わった歌だよなぁ。日本の曲っぽくないし」
K「うん、彼女の曲はお前の好きなフォークじゃなくて、いわゆるポップスだからなぁ。これから、もっとはやっていくぞ」と言っていたのである。
その後、Kの予想は当たった。
数十年後、沈丁花が香り「春よ、来い」が流れてきたとき、Kのことばを思い出した。
なつかしい・・・・・・春よ、とおき春よ・・・・
沈長の香と思ふ人の香と思ふ(山口青邨)