昭和49年3月28日に春の高校選抜野球が始まった。
またまた、Yの家での話しである。
私「おい、春の風物詩『甲子園大会』がはじまったなぁ」
Y「ああ、そうだよな。高校野球っていうのは、われわれの小さいころからやってるから、こちらが幾つになっても、何やら年上の人たちが甲子園で試合をしているような気がしてしかたないよなぁ」
私「ははは、いつまで子供のつもりだよ」
Y「まあな。ところでさ、この大会から、金属バットを使ってもいいことになったろぅ?あれ何でだか知ってるか?」
私「え、よく飛ぶようにってことじゃないのか?」
Y「うん、それもあるんだろうけど。バットの原料って『アオダモ』っていう木なんだってさ。それが成長して使えるようになるのは、70年くらいかかるらしくて、今や、そのアオダモがなくなってきてるんだって」
私「ああ、それでかぁ」
Y「そう。それに、高校野球で1試合平均3本バットを折るとしても、全試合で、ええっと58試合あるだろ。ということは、174本なわけさ」
私「ああ、そうだな」
Y「でだよ、バット1本1万円としても174万、それから・・・練習試合が年に30回あるとして・・・」
私「ばか・・・きりがないじゃないか・・・・」
要するに経費節減が言いたかったのでしょうが、はなしがどんどんズレてゆく春の夕でした。
言ひつのる唇うつくしや春の宵(日野草城)