大学生の2月。
ちらちらと雪がふっている。
部屋でこたつに入りながら、ふっと中学生のときの国語の授業を思い出した。
先生が笑いながら、
「冬の花に『むつのはな』(六の花)と『みつのはな』(三の花)があるのを知ってるか?」と尋ねる。
みんなが、怪訝な顔をしているなかで、終了のベルが鳴ってその話しはおわりとなった。
先生にすれば、おまけの余談だったのであろう、それきりである。
三の花とは霜のことであり、六の花とは雪のことをいう。
大学生になって、天気予報であったか、なにかテレビの番組で、このふたつの花について解説されていた。
1486年に成立した紀行文『廻国雑記』のなかにも
「おしなべて草木にかはる色もなし誰かは むつのはなとはみるらん」
とうたわれている。
由来は雪の結晶が六角形であるからとのこと。
さらに、三の花は、雪が六つというなら、霜は三つとしようというシャレであるとか、あるいは、霜は土の水が凍って生まれるので『みずのはな』から転用したとか。
さらに霜だけではなく、歌舞伎などの舞台で降らす雪が、紙を三角に切って降らせるので、この雪を三の花と呼んだりするそうである。
この日、ついたち、三つと六つとの花盛りであった。
雪ちらちら 一天に雲 なかりけり(一茶)