大学のたまり場で、悪友たちとおせち料理のはなしとなった。
A「のりも。おまえんとこじゃ、毎年おせち作るのかよ?」
私「ああ、むかしから母親が作ってるぜ」
A「そうだよなぁ。うちもそうだけど、このごろじゃあ、親も年取ってきたから、一部だけど、買ってくるようになったぜ」
私「そうかぁ。ま、このごろは作ったって余るから、張り合いがないってうちの母親なんか言ってるよ」
A「うん、うちもだけど。たださ、正月は女のひとが、日ごろの炊事の手間を軽減するためで、おせち料理で食事をまかなえるのがありがたいって言ってたぜ」
私「そりゃそうだよな。それに、正月は、市場なんかの食料品店が開いてないもんなぁ。あれがなきゃ、干上がるし」
A「うん。それに酒飲みにとっちゃあ、たまらない酒の『あて』だっていうぜ。先輩に聞いたんだけど、ある教授なんて、除夜の鐘を聞きながら、こたつでおせちで酒を飲み始めて、そのまま、飲んじゃ眠り、飲んじゃ眠りしてたんだってさ。目が覚めたときに奥さんに、今日は何日かって聞いたら、正月の3日だっていわれたんだってよ。びっくりするぜ」
私「うそだろぅ?だまされてんだよ」
A「そう思うだろぅ。だけどほんとなんだって。その先輩、この教授のゼミ生でさ。お宅に伺ったとき、教授の奥さんに聞いたんだってさ。ほんとにほんとだって奥さんが言ってたそうだぜ」
へぇぇぇぇぇ・・・・たいした酒豪だよなぁ・・・・
むつかしきこと云ふまじ年用意(高田つや女)