11月も末になると、朝晩はそうとう寒くなる。
ある朝、大学図書館前で。
K「おおぃ、今朝はさむかったなぁ」
私「ああ、何か霜が降りたそうだぜ」
M「さすがの俺も、今日は震えたよ」
I「はは、神戸は六甲おろしが吹くまでは、そうでもないぜ」
などと話していた。
Kはジージャン、私は厚手のセーター、MやIも晩秋にふさわしい恰好をしていた。
K「ところで、もうすぐコートが必要になるだろう?おまえらどんなコートを着る?」
私「うん・・・高校時代からの学生コートしかないからなぁ、新しく買わないといけないんだが・・・」
K「今年は、トレンチがはやってるよなぁ」
I「ああ、あれはちょっと背が高くて、スタイルのいい奴じゃないと似合わないとおもうぜ」
M「うん、それに俺のように、ちょっと苦みばしってないとなぁ」
「なにいってるんだよ、『俺のように』は要らねえよ」(全員のつっこみ)
そこに1学年先輩のA嬢があらわれた。
「おはよぅ」とさわやかな声である。
と、見ると
ダークグリーンのハイネックセーターにフレアーパンツ姿で、ベージュ色のトレンチコートを羽織っている。
うわぁぁぁ・・・・・か・かっこいいぃ・・・・・
年上女性のスタイリッシュな登場であった。
コート買う十一月の旅のため(西村和子)『夏帽子』