われわれが学生の頃は、まだ土曜日は午前中だけ仕事があったり、学校での授業があった。
これを「半ドン」と呼んだ。
なぜそう呼ぶのかはよく分からないが、とにかく午前中に仕事をして、その終わりの合図が太鼓や大砲などの大きな音でのドンという合図をしたというので、半ドンというと聞いていた。
これには、さまざまな説があるため、確かではない。
しかし、高校のころまでは、この半ドンはうれしいときもあるが、めんどうな制度だなぁというのが、われわれ世代の感覚である。
というのは、何はともあれ、土曜日には半日だけ学校にゆかねばならない。
季節のよいときならば、それほどの苦痛はないが、11月にもなると、
寒い、眠い、面倒という感情の方が先に立つのである。
ふとんが温かい・・・・・・・・
階下から母親の声がする。
「早く起きなさい!!もう7時よ!!学校に遅れても知らんよ!!」
「ううぅぅぅ・・・・行っても2・3時間で帰ってくるのにぃ・・・・」
と、のろのろと起き上がる11月末の土曜日であった。
ぎりぎりであるから、もちろん、朝食抜きである。歯磨きをして顔を洗って、
「いってきまぁす・・・・」
ねむい・・・・すぐ帰ってこよう・・・テレビで吉本新喜劇 見な あかんし・・・・
土曜日の午後にはじまる神の旅(今井杏太郎)