大学のたまり場で。
「おい、先月、神様が全部出雲にあつまっただろ。いつ帰ってくるんだ?」
「お、おぼえてるじゃないか。だから、今月だよ。別名『神帰月』が11月さ」
「おお、霜月(しもつき)との二つ名かぁ」
「ちがうちがう。二つ名っていうと『あだ名』とか、何か別のものなのかと思うじゃないか。11月はいろんな言い方があって、『ゆきまちづき(雪待月)』『そうげつ(霜月)』『かぐらづき(神楽月)』と今思いつくだけでも他に3つもあるぜ」
「なんとも、はなやかだなぁ」
「まあ、これをはなやかというかどうか?」
「文献でも何か書いてあるのか?」
「はっきりとした『神帰り』の語を記録したものはないそうだよ。ただ、源俊頼が書いたと伝えられている
『莫伝抄』(室町前)の歌で
『西方に けふかへる 神路のかみき月 天の岩戸の 今やあくらん』
っていうのが記録に残ってるってよ」
ふぅぅぅぅンンン?・・・・・
大杉を神降り給ふ神楽笛(高原千景)