「へええぇぇぇっえぇぇっえええ~~~・・・・」
女が袖で顔を隠しながら泣いている。
NHK日曜日の狂言放送『墨塗(すみぬり)』での一場面である。
この狂言、室町時代の大名が京に土地争いの訴訟で滞在中に、都でねんごろになった女性がいる。
訴訟が終わって、国にもどることになり、この女性に別れを告げたときに、女性に泣きだされて困ってしまうというストーリーである。
この狂言では、秋の空が変わりやすいように、「男ごころと秋の空は一夜にして七度変わる」というせりふがあって、これがはじめの頃の、このことわざの言い方であると解説されていた。
うん?「女心と秋の空」じゃないのか?というのが私の思いであった。
大学で友人たちに話してみると、数としては、圧倒的に女心派の方が多かった。
まあ、男どもに聞いているのであるから、当然ではある。
調べてみると、江戸時代くらいまでは、まだ、男心であったようで、
一茶が 『はづかしや おれが心と 秋の空』と詠んでいる。
明治になって、女心という方が優勢になり、
大正時代のオペラ曲
「♪ かぜの中の羽のように いつも変わる おんな心~♪」
などという『はやり歌』などで、決定的になったようである。
ゼミの同期女子学生に聞いてみると、
「ひとによるわねぇ。とにかく、『性格のあう絶世の美男子』が相手なら、変わらないとおもうわ」だそう。
ちょっと、聞いている意味がちがうんだがなぁ・・・・・
しんしんと澄む秋空やゆき場なし(野澤節子)