昭和48年11月1日金曜日の夜、プロ野球日本シリーズがジャイアンツの勝利で終わった。
対戦相手は南海ホークスで、第5戦のスコアは5対0であった。
シリーズ全体を通じて4勝1敗となり、圧勝といってもよかった。
「よし!今年もジャイアンツ強し!!」と叫ぶのではあったが、
当たり前に勝つという神話のような物語りは、この年が最後であった。
ジャイアンツは9年連続で日本一となっている。
ということは、昭和40年以来連続である。
昭和40年といえば、日本が高度経済成長期に入り、社会経済が大きく発展してゆく時期であった。
その間の日本の総理大臣は佐藤栄作氏である。
われわれの世代は、総理は佐藤栄作、野球は巨人、相撲は大鵬、食べものは卵焼きというパターンで暮らしており、それが当たり前という形で育ち、わりあい、のほほんと過ごしていた。
少し上の姉兄の世代は『団塊の世代』で、すさまじい競争を経ている。
わたしなどは、それを見て「うわぁぁ、いやだなぁ・・・かなわん・・・・」と思って生活している。
そのため、よく姉兄からは「この軟弱者め」と叱られたものである。
この年、高度経済成長に陰りが見え始めたのであり、その象徴は佐藤氏が総理の座から降りたことではないかといわれていた。
何か、その予感は当たったようである。
なお、以後ジャイアンツも、常に勝つというチームになることはなかった。
里芋のほつくり煮えて日暮れけり(高久フミ)