♪ 走るまどから眺めたら ローラーコースター雲の上
春はバラ色 枚方の 秋はうれしい 菊人形
てんまばしから三条へ ジリリン ピリピリ ポーッポ
〇〇特急 〇〇特急・・・♪
こどものころ、この歌がテレビからよく流れていた。
鉄道会社の宣伝歌である。
調子のよいテンポで、知らないうちに覚えてしまっていた。
小学生ぐらいになると、母親が秋に枚方パークへ連れて行ってくれた時に、
「あぁ、これがあの歌の菊人形かぁ」と思った覚えがある。
昭和の時代、10月は菊の季節に、大阪ではひらかたパークで大菊人形展が開かれていた。
秋の風物詩である。
菊というのは、何年もきれいな花を咲かせるには、手を掛けなければならず、ほおっておくと、だんだん花が小さくなったり、花が咲かなくなるそうである。
まして、大輪の菊は春から夏へとその日々の世話しだいで、みごとに花を咲かせるかどうかが決まるという。
こどのもころ、初めて見た菊人形。
わたしの印象は、
「ただの人形に大小の菊でかざって、服にしてるだけやん。何がみごとなんやろ?」
というに過ぎなかった。
今になってみると、あれほど多くの人形に大小色とりどりの菊花を配置して、人間の姿を映して、テーマごとに飾り付けをするのは、その菊人形師のすぐれた技がなければできないものであることが分かる。
大学時代である昭和49年の枚方パーク大菊人形のテーマはNHKの大河ドラマから採った「勝海舟」であった。
大人気であったことを覚えている。
しかし、職人さんの老齢化と人手不足から、その32年後に、この大菊人形展は閉幕している。
時代の流れであろう。
ひらかたの菊人形と花蘆と(百合山羽公)