卒業ゼミ生年度別の名簿を作成、この印刷本を作ることになった。
その役目のおはちが、現役ゼミ幹事のわたし、S、Iの三人に回ってきた。
わがゼミの教授は、わが世代までで22年目を迎えるが、その年数だけのゼミ生およそ100名以上を擁していた。
毎年、各卒業生が同窓会を開き、それに出席していては身がもたない。
そこで、年1回で済ませる大同窓会を開けるようにとして、その資料に名簿作成が必要となったのである。
われわれは、見積りから150部の印刷と決めた。
しかし、先生が「いや、将来のゼミ生も使えるから300部刷っておこぅ」と言いだされた(印刷部数が150でも300でも値段は一緒と思っておられる。さすが、「象牙の塔」の住人である。悪気はまったくない)。
「いやぁ・・・資金が足りません」と言おうとしたところ、そのまま出張か何かでどこか遠くに行ってしまわれ、相当の期間、会えないでいた。
しかたがないので、この週末に開かれた、卒業ゼミ生との設立会議で、代表OBたちに、資金不足があるため、援助をおねがいしたいと言うと、
都銀行員のM氏が、気色ばんで立ち上がり
「それは、君たちの計画が悪い、そんな資金をわれわれOBが出すのはおかしい。名簿だって必要かどうか。先生を説得するのは、君たちの役目だろう!」ということで、その場が終了。
印刷代の支払をしないと、当日の名簿配布に間にあわない。
どうしようもなく、不足分はわれわれ3人で分担(こういう戦闘態勢のときは、頼りになる悪友仲間。有難い)。
同窓会当日、M氏は、愛想よく「にこにこ」しながら、OB代表のひとりとして、先生ご夫妻や、その他のOB、学生全員の前で乾杯あいさつ。
その手に真新しいゼミ生名簿を持ち、
「いやぁ、りっぱな名簿ができて、大同窓会が開かれたことに乾杯・・・・・・・私はこのゼミを卒業して・・・・」(約15分)だそうです。
すごい!!お話しじょうずです。さすが、社会人10年生・・・・
秋の花、茄子(なす)の花には、必ず実が成る。
「親の意見と茄子の花は千にひとつもむだはない」とか。
終了後、悪友仲間三人で、複雑な気分のお茶を飲む夕べとなった。
茄子の花巧言令色滅ぶべし(澤木欣一)