お月見でススキとお団子を供える。
なぜだろう?
お彼岸のときに、お墓詣りのついでに、わが家の墓があるお寺のご住職に、母親がたずねている。
「さて、わたしも詳しくはないんですが、旧暦の慣行で、月は満ち欠けによって農家さんはその農作業をなさるでしょう。それで、満月は豊穣の象徴だというんですな。ですから、秋の収穫の感謝を込めて、豆やらお芋なんかをお供えするんでしょうなぁ。ところが、収穫物のいちばんであるお米は、まだ時期が早いから、それによく似たススキを飾るんだと聞いたことがありますよ」と。
「なるほど。おじゅっさん(ご住職をわが母などはこう言っていた)、だんごはなんでなんでしょうか?」
「はい、これは満月そのものをあらわしていて、まんまるだから、縁起もいいんでしょうなぁ」
ということであった。
なるほどね。さすが詳しいや、と私は横で聞いていた。
やはらかく重ねて月見団子かな(山崎ひさを)