同期とはなしていて、天地真理が歌を歌うときに、ファンが合いの手のように、はやしことばを叫ぶことが話題となった。
♪ あなたが ほほえみをー 【まりちぁあゃん】(ファンのこえ) ひとつわけてく れたらぁ~【まりちゃん】・・・・♪
というファンからの合いの手である
「あの、ファンの【まりちゃぁあん】という掛け声さぁ。あれどう思う?」
「え、演劇の場では、よくあることじゃないか」
「たとえば?」
「歌舞伎の大向こうからの役者屋号の掛け声【おとわや!】とかさ」
「それだけ?」
「いやぁ、演劇にかぎらず、講談師に対して【まってました、にっぽんいち】とか、江戸花火の【たまやぁ~ かぎやぁ~】とか」
「うん、そういうことを聞いていると、はやしことばって、すくなくとも江戸時代以降からの文化なのかなぁ」
「いやいや、そんなことはないよ。たとえば、平家物語の那須与一がみごとに扇を射たときの記述で
『扇は空へぞ舞いあがりける。・・・沖には平家船端を叩いて感じたり。陸には、源氏箙(えびら)を叩いてどよめきたり』
っていうことになっているよ。演者と観衆が感動シーンを一緒に作り上げる表現行動なんて、むかしから変わらないんだろうよ。」
「うん、なにか、画面としてもきれいだよねぇ・・・・・・」
美しき舞妓きてをり夏芝居(町春草)