norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

のどに小骨

 わたしの家では、子供のころから、魚がよく食卓にのぼった。

そのため、実際に、「のどに小骨が刺さることが」多くあった。

 

 経験のある方も多いであろう。小骨が刺さると、のどの奥がちくちく、ちくちくと痛くて、2・3日は気になってし方がないものである。

お医者さんにゆくほどではない。魚の骨はやがて溶けてなくなってしまうからである。

 

 夏のある日、テレビを見ていると桂米朝が、『骨つり』という落語を演じていた。

東京落語でいえば『野ざらし』であろう。

男が魚釣に出かけて、しゃれこうべをみつけたときに、供養のために持っていたお酒をかけて帰ってくると、夜に美女がお礼にあらわれるという落ちばなしである。

頭骨に酒をかけて魂のなぐさめをするというのである。

 

 これを聞いたとき、「ううん・・・・こうしたお酒をかけて、霊をなぐさめるというはなし、どこかで聞いたことがあるなぁ・・・」とずっと考えることになった。

 

 わたしにすると、これがのどに小骨が刺さったような状態である。『思い出し』というピンセットで骨をぬくことができるであろうか。

なにか、雨月物語の中に似たようなはなしがあったような、

お能の演目にそのような手向けのシーンがあったような・・・・

どうでもいいことといえば、どうでもいいことなのだが・・・

 

 分からないままに、数十年が過ぎている。いつか、この骨は溶けてなくなってしまうのであろうか?

 

      にぎやかに手向けて淋し草の花(子規)