夏の暑い日。みんなではなしていたとき。
A「おい、羽衣っていうと、なにを想像する?」
B「あの天女が舞いおりたっていうやつか?」
A「ああ」
みんながつぎからつぎへと
俺が住んでる場所の地名!・・・駅名!・・・・ 美女!・・・・薄い透明の着物! ・・・ 松原!・・・ 海辺!・・・・ 波音!・・・ 昇天!・・・・ むかしばなし!・・・・おとぎばなし!・・・・
などと、口々にさけんだ。
そうだよなぁ、今のわれわれには、あんまり関係ないよなぁ。
しかし、
演劇の世界では大事な演目のひとつで、能にも歌舞伎にも羽衣は生きている。
ただ、われわれには、古典芸能の世界は縁遠いもので、
子供のときに聞いた「おとぎばなし」といった知識でしかないのである。
やがて、
「おい、それで想いつた。暑いから泳ぎに行こうぜ!」
「よし」
と全員が賛成して、プールにゆくことになった。
天女が降り立ったという、松原の海辺ではなかった。
浜プール太平洋を目のあたり(森田峠)