norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

ヴェニスの商人

シェイクスピアは法学者ではないか?

あるいは、法学を学んだひとではないか?ということが言われる。

それは、ヴェニスの商人などの作品の内容がその理由となっている。

このはなしは、アントニオがユダヤ商人シャイロックからお金を借り、そのときに、期日までに返せないときには自分のからだの肉1ポンドを差し出すという約束をするのである。

 

 アントニオは貿易商であり、不幸にも自身の財産である船が航海で沈没したため、破産し、約束の返済ができなくなった。

 シャイロックが裁判に勝ち、その裁判の結果によって、いままさにナイフでアントニオのからだを切り刻もうとしたとき、裁判官に扮したアントニオの恋人ポーシャが、

 

「肉を切り取ってもよいが、契約書にない血を一滴でも流せば、契約違反として、全財産を没収する」というひとことで、シャイロックが敗れるというクライマックスシーンをむかえるのである。

 

 これによって、『勧善懲悪』、演劇ならば、たとえば平幹二郎などがアントニオとなって、美しい装飾舞台のなかで終焉する。そう考えながら、みんなと話していると、

 

 悪友がこれにちゃちゃを入れるのである。

「なにいってんだよ。いいかぁ。舞台は16世紀のヨーロッパだろう、そこでは、宗教的戒律で利息を取ることは禁止されているが、シャイロックは利息を取って生活する金貸しなわけさ。法の世界では契約の優位性と・・・・・」

 

もぉぉ、うるさい!! 

法理論じゃなくて、おれは、今、文学演劇をたのしんでんだよ!!

 

     夏真昼回り舞台の静止せる(柿本多映)