アルバイトで仕事場へゆく朝、いつものように、わりあいに広い公園をとおって職場に向かっていると、
急に
しゃゃあぁぁん~という音(ね)がしたかとおもうと、
いっせいにセミが鳴き始めた。まさに、急にである。
『じゃんじゃん じゃんじゃん じゃん』『しゃんしゃん しゃんしゃん しゃん』『やれそれ やれそら じゃんじゃん しゃんしゃん しゃん』
『しゃんしゃん しゃんしゃん しゃんしゃん しゃんしゃん』・・・・・
身の回りに音の洪水があらわれたのである。
いやな気分ではない。しかし、静かであった公園の入り口にはいったとたん、急に公園全体から、セミの音楽がボリュームいっぱいに流れ出したのである。
うわぁ。暑くなりそう・・・・ 梅雨明け10日と、いうそうだ。
その予感が的中する7月の朝であった。
音符なく調子揃へる蝉時雨(吉留洋子)