昭和50年6月に、佐藤栄作元首相の訃報がニュースとなった。
われわれは、数年前に佐藤さんがノーベル平和賞をもらったというニュースを聞いて以来の佐藤元首相についての報であった。
佐藤元首相というのは、われわれ世代にとってみれば、小学校の頃から首相であって、高校がおわるころまで、ずぅーと首相の座にあった、いわば、いつでも首相、首相といえば「さとう」さん、という感覚で暮らしていたのである。
それは、プロ野球の優勝チームと連動していて、セリーグ優勝、日本シリーズ優勝はジャイアンツ、ジャイアンツといえば優勝、V9(ブイナイン)というあり方と一致していたのである。
このとき、同じジャイアンツファンのHと話していて
H「不吉だねぇ」
私「なにが?」
H「さとうさんが総理のときは、ジャイアンツはいつも優勝だろ」
私「ああ」
H「総理をやめたら、中日に優勝されわれてさ。佐藤さんがいなくなったら、もっと悪くならないか?」
私「・・・・・・」
あじさいに意図あるがごと晴曇雨(伊丹三樹彦)