6月の土曜日、母親が、買い物をするから、荷物運びについてこいという命令が下った。
何を買うのかと思って、市場についてゆくと、青梅を5キロほどまとめて買い込んだ。
わたしとしては、そんなに要らないだろうと思っていたが、わが家でさいごのスネカジリという身分のため、しかたなく、だまって風呂敷に包まれた青梅とそのほかの雑貨をもって帰宅した。
それからが大騒動である。台所を青梅いっぱいにしながら、青梅の水洗い、詰め込み用のビン、氷ざとう、しお、しょうちゅう、赤紫蘇などなどを並べて、がたごとがたごと仕事をし始めた。
母親いわく、
「あんたが、女の子なら、手伝わせるのに!もぅ、じゃまになるから、部屋にいってなさい」だと。
数時間後の夕、お腹がすいたので台所へ行ってみると、中型のびんが6個きれいに並べてあった。そのうちの1つは梅酒である。
母親に、「晩御飯は?」というと、
「あ、ごはんまだ炊いてなかった。もう1時間、部屋にいってなさい!」
「もぉ・・・・・」
青梅の母にいろいろ塩の味(小檜山繁子)