大学生のときの5月、競馬のハイセイコーがNHK杯に勝利して、10連勝となり、すさまじい話題となった。競馬というのは、ギャンブルで、われわれ仲間でもあまり人気のない競技であった。というのも、競馬というのは、どうしても、暗いというイメージがぬぐえない。
ところがである。ハイセイコーという馬が地方競馬から、中央競馬に転出してきて、めきめきと頭角をあらわすと、その人気があがり、テレビで何度も何度も、放映され、競馬人気が沸騰したのである。
ここで、法学部生の悪い癖が出る。
「競馬はギャンブルだろう。なんで、賭博罪にならない?」
先輩に聞くと、
「競馬は、競馬法という法律によって、違法性がないものとされていて、国や地方公共団体が競馬という娯楽を提供することによって、いわば、国民の福祉に貢献し、その収益の一部を公益のために使うことで、法の範囲内でそのギャンブル性を許容しているんだよ」と。
われわれは、そうかぁ、国や公共団体が胴元の「ばくち」は違法ではないのか、と思ったものである。われわれの仲間でも、幾人かは馬券を買っていた。
双六に負けておとないく美しく (虚子)