norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

ある愛の詩

アリ・マッグローライアン・オニール主演の映画の話しではない。

ある日の朝、大学の中庭へゆくと、井川先輩と同学年のしほり嬢が、口げんかをしている。

 

しほり「だから、いったでしょう。原稿を書いてコピーをしておいてって」

井川「聞いてないよ。昨日の帰りは、一緒の電車じゃなかったろう?」

しほり「言ったわよ。わすれたの?まちがいないんだから!!」

しほり先輩は、いったん言い出したら聞かない。

 

 最後には、苦笑いしながら、井川先輩が、

「わかったよ、民法の事例問題を3問つくって、研究会用にコピーしておけばいいんだな。今日の夕方までにやっとくよ」。

 これで決着がついた。

 ふたりは、夕方の民法研究会のチューターであり、研究会資料作成で、もめていた。

 

 しほり先輩は、つぎの時間の講義があるからと、学舎の方へ行ってしまった。

 

 たばこを吸いながら、ひと息ついている井川先輩にわれわれが、

「先輩、どうなってるんですか?いつも、先輩がしほり先輩にやらっれっぱなしのように思うんですけど・・・・」と聞く。

 

 「ああ、あいつは現役だから俺より1つ年下でな。うちにも同い年の妹がいるんだよ。どちらも、言やぁ、わがままなんだけど、どうも、最後には、あいつの言うことを聞いておかないと、しかたがないんだよ。研究会つぶすわけには、いかないだろう?」

と、ぼそっといいながら、煙をはきだしていた。

 

 あれれ、やさしい。そうか、結局、しほり先輩は、井川先輩に甘えてんだなぁと、みんなが納得した。

 後年、二人は結婚したそうである。

 

        早乙女や泣く子の方に植えてゆく (乗拾)