norimoyoshiakiの日記

大学時代のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

わが物と思えば軽ろし・・・

 1年生が大学へゆくときは、大きなバッグに荷物がいっぱいということが多かった。

何がはいっていたであろうか。まず、体育実技があるときは(体育実技はわれわれのときは、必須科目であった)、体操着と運動靴、おしゃれな学生は着替えが入っている。

さらに、講義は1日およそ4つから5つあるため、教科書がその数だけバッグのなかに詰め込まれる、さらに、ノートが数冊、筆記用具、などなど。

 

 さて、ここで学部のちがいが出る。やっかいなのが、法学部である。六法が必要なのである。この六法というやつ、どの法律科目にも必携であるため、持たずに大学にくることがないのである。しかも、大きいし、重い。ちなみに、われわれの頃は、六法といえば岩波書店刊行の「基本六法」または有斐閣刊行の「小六法」が、コンパクトで学習用であるされた。これが中辞典くらいある重いものであった。

 

 しかし、これだけでは済まない。語学辞書がこれに加わる。しかも英語辞書プラス第二外国語の辞書である。今ならば、軽いパソコン1つあれば、教科書から六法、辞書、ノート、筆記用具まで、すべてまかなえるであろう。

 これで満員電車に乗るのであるから、朝からひと仕事であった。重い日はおよそ50キロの肩掛けバッグをえっちら、おっちら運んでいた。この時ばかりは、大学の近くの下宿に住む同級生を、うらやましく思ったものである。

 

 昼頃になって、3・4年の先輩が六法とノートだけを抱えて、

われわれ1年坊主に「おう!おはよう」と正門前で声をかけてくるときに、

 

 『え、荷物あれだけ?』と、うらやんだ。

 なぜかといえば、正門から学舎までは、相当きつい坂道がつづき、荷物があるかないかは、大違いなのである。

 

 そのとき、先輩が、われわれに、

 「わが物と 思えば軽ろし 肩のゆき」(「宝井其角」のもじり)

と揶揄(やゆ)して、坂道とは反対の、平坦な生協食堂の方へ行ってしまった。

「今、雪なんか、ふってないやい!」と、聞こえないように悪態をついていた。