わたしの年代の男子は、小さいころから、巨人・大鵬・たまご焼きであった。とにかく、ヒーローがいいのである。王、長嶋という強打者、強い横綱の大鵬、ふわふわの厚焼きたまご、がたまらなく好きなのだ。
ところが、大学へ入ると、関西にいて巨人が好きだというと、大きな抵抗に出会う。とにかく、まわりのほとんどが阪神ファンである。
いわく、
「おまえ、こどもやなぁ。いまだに、王、長嶋なのか」
「あんな野球のどこがおもしろいんや?すごい、バッターや投手を集めるだけ集めて、力だけで勝っていく野球やぞ」
「おまえ、阪神のあの渋さ、分からんのか?しろうとやなぁ」などなど。
わたしも、くやしいから、仲間2・3人といっしょに反論。
「野球は実力が勝負。実際に、ひきょうなことせんと、強ければええやろ?」
「優勝でけへんチームファンのひがみがひどいぞ」
「王・長嶋が、少年少女に夢を与えてるやろ。夢を与える野球をするのは巨人だけや」
などなど。
阪神ファンは教授の中にもいた。
ある教授は、昨晩の阪神巨人戦(巨人ファンは巨人阪神戦といった)で阪神が惜敗すると、
「きょうは、気分が悪い。これで講義おわり。」といって、30分も早く講義を終了して帰ってゆかれることもあった。ご本人の名誉のために言っておくが、普段は極めてまじめに授業をされる先生である。このときの惜敗が、よほどくやしかったのであろう。
結局、この年、巨人が、かろうじて阪神を下して優勝した。
その年の忘年会では、わがサークルのコンパでの、最終締めの芸ごとは、阪神の球団歌「六甲おろし」の大合唱であった。
🎵 ろっこうぉ おろーしにぃ さぁあぁ そうおおおと♪・・・・♪
巨人ファンも一緒になって歌っていた。
われわれも、別に、阪神がきらいなわけではないのである。
そこは、大阪人やもんね。在阪球団が嫌いなわけがない。
『議論はすれど、けんかせず』。法学をまなぶ者のマナーでもあった。
是非もなし!(信長かと、つっこみが入る?)