norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

まんがと大学生

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 大学の頃、少年ジャンプが発刊された。われわれの世代は「1億総白痴化」という標語の典型であるといわれてきた。さらに、教養がない、本を読まないとして追い打ちをかけたのが、漫画ブームである。大学生にもなって、といわれながら、少年サンデー、少年マガジン少年キングという週間漫画雑誌を喫茶店で読んだり、1冊購入して、みんなで回し読みするのである。そのなかでの、少年ジャンプの発刊に。さあ大変。月曜から金曜まで、毎日あたらしい週刊誌が発行されるため、あちこちで、

「おい、あれ読んだか?」

「あの、○○の続きは何号やった?」

「おい、おまえの持ってる最新号貸してくれよ。」

などなど、男子学生の間では、たえず、こうしたやりとりがされていた。女子学生は「おとな」であるから、こうした会話を冷たい目で見ていたことを覚えている。

 ニュースでも、このごろの大学生は、教科書を持たずに、週刊誌の漫画をかかえて大学へ通っていると、ひんしゅくを買ってもいた。

 ある先輩などは、ゼミ講義に出席していたときに、同じぐらいの分厚さである六法と少年サンデーを持って教室にゆき、自分の席の机の上に置いていたら、厳格なことで評判の教授に見とがめられて、

「君、六法を持ってくるのはわかるが、漫画は授業に必要ないだろう」といって、こっぴどく叱られたらしい。

 ある日、われわれが電車で通学していると、途中から電車にのってきた若いサラリーマンが席に座ると、やおらアタッシュケースを開き、少年ジャンプを読み始めた。

われわれは、ああ、サラリーマンも少年漫画を読むようになったかと見ていた。

そのサラリーマン、どこの会社にゆくのかと思ったら、教員研究室学舎に入っていったのである。

あとで、大学の広報誌を見ると、先輩が叱られた教授と同じ分野の、新任の先生であった。

「え!あの人、先生?」きっと、「あの教授に、いまごろ、叱られてるぞ」と、話題になった。